口下手流のプレゼンスライド制作のコツ

f:id:KAJIJI_Design:20211202185418p:plain こんにちは!SaaS事業部新卒デザイナーのかじもとです🐧
前回はプレゼンのコツとして記事を書かせていただきました(たくさんの方に見ていただけてめちゃ嬉しい)
tech.excite.co.jp


さて、今回はエキサイトのアドベントカレンダーに参加させていただきました🎄
年末や年度末は総まとめの機会、カンファレンスや発表会などなど増えますよね。なので今回は、プレゼンをする上で欠かせない「スライド制作」について書いてみようと思います。
スライドはプレゼンをする上でカンペになるものです。単に話す内容を記せばいいのですが、抑揚のない内容ではなかなか共感を得づらいですよね。 そうならないためのスライド作りのコツを、ここではお伝えします。

スライド制作の4つのコツ


① 話の流れは「つかむ・深める・ゆさぶる・動かす」

これは先輩デザイナーから教えていただいたもので、よくある起承転結と同じようなものです。以前私がLT会で使ったスライドを例に解説しましょう。
このスライドは、配属されて約2ヶ月たったビジネス職・デザイナー職の進捗報告LT会で、「配属した部署で学んだ事」をテーマに発表しました。

つかむ

つかむは、聞き手が話に引き込まれるような「なんだろう?」「続きが気になる」と思えるような内容にします。
f:id:KAJIJI_Design:20211201134037p:plain 例えばタイトルを2段階にしていて、デザインを学んでいた!のにもかかわらず「実際は学べていなかった!」と否定する入り方をしています。
これは発表内容に合わせていて、学生時代学んできたグラフィックの知識を全く活かせていない…というストーリーを表したタイトルにしました。
f:id:KAJIJI_Design:20211201132836g:plain また、配属されてから関わってきた制作物の一覧を自動スクロールさせたのですが、話のスピードに合わせて動かしたこともあり「なんだこれ?!」と思わせることができました😂

深める

深めるは、実体験や例を挙げて具体的な話をしていきます。
f:id:KAJIJI_Design:20211201134114p:plain 私の場合は、デザインが学べていなかったと感じた実体験を2つ取り上げ、具体的にどうダメだったのかをまとめました。
f:id:KAJIJI_Design:20211201134235p:plain ここでは、具体的な話を比較して伝えることで、よりわかりやすくなります。分野で一般的な考え方や理論と見比べてどうなっているか表現すると、別職種で馴染みない聞き手でも伝わりやすくなります。

ゆさぶる

ゆさぶるでは、深めるの内容からどのような行動をしたかをまとめます。前のステップで、聞き手は「こんなふうにできていなかったのか」となっているはず。ここではなるべく聞き手も一緒に「なるほど、その手があったか」と『一緒に解釈』してもらうことが大事です。
今回で言えば「デザインできていない」実体験を、どうやって乗り越えたかをスライドにしました。
f:id:KAJIJI_Design:20211201134250p:plain 文字の見た目である文字組ができていなかったため、直すための方法である図形置き換えの技を図にしています。このビフォーアフターによって、具体的にどんなアクションをしたのか追体験してもらいました。

動かす

動かすでは、最終的に聞き手に伝えた内容を覚えてもらうフェーズです。 これまで「深める」「揺さぶる」で伝えた内容は、ぜひとも実践につなげて欲しい、そのためには印象に残すことが欠かせません。ここではその熱い思いを、簡潔なメッセージにしましょう。
ただし「終わりよければ全てよし」のように、短いスローガンだけ言い渡されても印象には残りません。深める・揺さぶるで伝えたことに見出しをつけてあげる作業が「動かす」が担う役割となっています。
f:id:KAJIJI_Design:20211201134304p:plain 私の場合は、学んだことをテーマとしていたので、文字組をなんとなく作り失敗した体験の戒めとして「雰囲気で作らない」と銘打ちました。

② いいたい言葉を全部載せない

①では、スライド制作にあたる骨組みと肉付け方法をお伝えしました。次は付けた肉の削ぎ落とし作業です。
よく、資料が少なくならないように全部載せてしまう、カンペのように読み上げる文字が全て入っているスライドを見かけます。そういった見せ方が効果的な場面もありますが、LTのような短い発表では時間が足りなくなってしまいがちです。
さらにオンラインが増えた今、聞き手には発表者の身振り手振りよりも、画面に映るプレゼンスライドの情報量が多いでしょう。そこに不要な情報が紛れていたら…?おそらく聞き手はスライドに集中してしまい、発表者の言葉は流れてしまいます。
f:id:KAJIJI_Design:20211201134941p:plain 「お役所ポンチ絵」が情報量の多いスライドの代表格でしょうか。例えば、コーヒーについてまとめたスライドがあるとしましょう。
1枚のスライドで載せられる情報は「種類をまとめた表」「サイフォン式コーヒーの入れ方」といった、1要素を載せるくらいが妥当です。対して情報量が多いスライドは、コーヒーの種類も銘柄も淹れ方もいっぺんに示しているような物です。発表の短い時間の中では、情報を見るだけで手一杯になってしまいます。
f:id:KAJIJI_Design:20211201141104p:plain そうならないためにも、出てこない内容はスライドから省いてしまいましょう。1画面に載せる情報はなるべく少なくすることを意識してみてください。不安な場合は、スキップスライドや補足スライドとして別で用意するのがおすすめです。

③ 意図したグラフィックにする

デザインあるあるで「デザイナーはイケてるグラフィックを作れる」と思われがちですが、どれもきちんとした理由を持って作っています。装飾を施す引き出しが多いだけで、根本は質素なものを作っている方がほとんどだと思います。
これは②と通じていて「不必要な情報を置かない」作業と同じですが、どちらかというと「理解を促す図をわかりやすいものにする」作業になります。

私自身もグラフィック制作に慣れていないとき(今でも慣れているわけではないのですが…)、何もない余白を恐れ、開いたスペースにイラストを入れていました。しかしこれが落とし穴。スペースが空いたからといって、とりあえず埋め合わせて素材を追加したことで、明らかに「埋めました」感が出てしまうのです。
f:id:KAJIJI_Design:20211201142731p:plain 言葉だけではわからない情報(例えば表や図形など)はグラフィックとして補助となる情報源に。逆にグラフィックではわからない情報(例えば見た人によって印象が変わるもの)は文字として書き示すことが大切です。

④ 完成したらプレ・プレゼン

時間がなくなると発表練習が後回しになりがちですよね…。
前回記事の最後に「発表前に自分のプレゼンを聞き直す」とまとめたのですが、最低1回は本番と同じような環境で発表をしてみてください。プレ・プレゼンを行う目的として、作ったスライドの内容が頭からお尻までブレていないか確認する事、言いたい内容に必要な情報の過不足がないか見る事の2つが挙げられます。

1枚1枚のスライド制作をしていると具象的なところに集中してしまい、スライド全体を通しての確認を忘れてしまいがちになりますよね。最後に一度でいいので「言いたい内容が散らばりすぎていないかな?」「最初の内容が終わりではズレていないかな?」を確認する『一歩引いて客観視』をぜひしてみてください。
普段、スライドがうまくまとまらない…となる方はこちらを意識してみるとモヤモヤが解消できるかもしれません。
(スライド制作で絵コンテのようなものを作るのもおすすめです)

おわりに

ここまで長々と書きましたが、この記事でスライド制作に悩む方のお手伝いができたら嬉しいです。長文したためた甲斐が出るので…
最後に、「プレゼン」や「発表する」行為はとても緊張するものですよね。私自身も毎度そうで、緊張して膝やら指先を震わせてしまいます。

自分の中に留めておくだけではもったいないアイデアが、世の中にはたくさんあります。おそらく読んでくださった方の中にも、誰かが求めている素敵なアイデアがきっとあります。それを、外に出すきっかけの一つにプレゼンがあると思います。
ぜひ、素敵なアイデアを伝える機会として発表の場に登壇してみてください。陰ながら口下手デザイナーも応援させていただきます🚩