こんにちは。 エキサイト株式会社の三浦です。
先日、サービスで使っているJavaやSpring Bootのメジャーバージョンをアップデートしました。
その際に何を行ったかについて説明していきます。
主目的のアップデート内容
今回は、主に以下のアップデートを行うことを目的としました。
Java
- version 17 → 21
- SDKMANを使用
Spring Boot
- version 2.6.6 → 3.2.2
- Gradleを使用
最大の目的は以上の2つのアップデートだったのですが、残念ながらそれだけでは完結しませんでした。
付随して、以下のような対応が必要となったので説明していきます。
付随した変更内容
Gradle自体のバージョンアップ
Gradleをバージョン・タスク管理システムとして使用している場合、Gradle自体も、バージョンが古ければアップデートが必要な場合があります。
各種ライブラリのバージョンアップ
Spring Bootで開発しているとはいえ、多くの場合Spring Boot以外のライブラリも使用していることでしょう。
それらの各種ライブラリも、場合によってはアップデートが必要になります。
特に今回はJava / Spring Bootのメジャーバージョンをアップデートするため、バージョンアップをしないと正しく動かないライブラリもそれなりに存在する可能性があります。
また、バージョンアップしたことによって今までの設定では動かなくなる場合もあります。
その際は、設定も修正しましょう。
javaxパッケージのimportを修正
Java17からJava21にアップデートすることで、今まで javax
としてimportしていたパッケージが、 jakarta
となります。
例
import javax.annotation.Nullable; ↓ import jakarta.annotation.Nullable;
基本的には名前が変わっただけで処理自体は変わらないので、機械的に対応していきましょう。
ただし、 javax.sql.DataSource
など一部 javax
のまま使われるものも存在するので、注意が必要です。
org.thymeleaf.spring5パッケージのimportを修正
Spring Bootのアップデートにより、 org.thymeleaf.spring5
パッケージは org.thymeleaf.spring6
パッケージへと変更になりました。
使っている場合は変更しましょう。
ConstructorBindingの削除
@ConstructorBinding
アノテーションは、コンストラクタが複数あるなど特殊な状況でない場合は不要となります。
不要であれば削除しましょう。
トレイリングスラッシュの扱いの変更
@RestController
や @Controller
を使ってAPIやWebページを作っている場合、これまではURLパスのトレイリングスラッシュあり・なしは明示的に指定しなくても両方含まれていました。
バージョンアップ後は、明示的に指定したパスのみが含まれるようになるので、注意しましょう。
非推奨ではありますが、これまでと同様にトレイリングスラッシュあり・なしを明示的指定なしで両方含ませたい場合は、以下の設定を追加することで実現できます。
package sample.config; import org.springframework.context.annotation.Configuration; import org.springframework.web.servlet.config.annotation.PathMatchConfigurer; import org.springframework.web.servlet.config.annotation.WebMvcConfigurer; @Configuration public class WebMvcConfig implements WebMvcConfigurer { @Override public void configurePathMatch(PathMatchConfigurer configurer) { configurer.setUseTrailingSlashMatch(true); } }
Readme等のドキュメント更新
Readme等のドキュメントにバージョン情報を書いている場合は、そちらも更新しましょう。
CI / CD環境のJavaのバージョンアップ
CI / CDをしている場合、CI / CD環境にも開発環境とは別指定でJavaをインストールする処理が含まれる場合があります。
その場合は、そちらの環境のJavaのバージョンもアップデート後のバージョンに変更するのを忘れないようにしましょう。
最後に
今回挙げた以外にも、使っているSpring Boot系のライブラリによっては追加対応が必要な場合もあるでしょう。
また、コード内の処理次第ではさらなる変更が必要な場合もあるかもしれません。
メジャーバージョンアップの際は、付随的な変更もそれなりに必要になります。
面倒ではありますが、今後の開発に向け必要な作業なので、ぜひやってしまいましょう!