こんにちは、エキサイト株式会社メディア事業部デザイナー 小野寺です。 今日は、最近デザイナーチームで取り組んだ、デザイン業務ワークフロー改善についてシェアしたいと思います。
これまでも取り組んでいたこと
今回の取り組み以前にも、デザイン予算を持っていない(デザイナー不在)チームからのスポット的なデザイン依頼の受け皿問題を起点として、
- Googleフォームからの依頼フロー作成&周知(口コミ)
- 簡単な告知画像作成などはcanva等のデザインツールを使って制作出来るよう、ツール利用の啓蒙等を行ってきました。
また、canvaを含め、Figma、Adobe、モリサワ等のデザインツールのアカウント管理は社内のインフラ部で最終管理をしてもらいつつも、主体で使うのはデザイナー職のため、アクティブユーザーの管理や新規利用開始の相談等はデザインチームで受けていました。
見直すに至ったきっかけ
今回このワークフローを見直してアップデートするきっかけとなったのは、非デザイン職からのFigma、Adobeツールの利用相談への対応についてのお悩みからでした。
よくよくヒアリングをすると、利用目的に対して希望するツールがアンマッチ(高機能すぎる)していたり、費用対効果に見合わないだろうな、というケースが度々あり、どうしよう?といった趣旨の内容でデザイナーMTGの時間を消費していました。
みんないろいろ「知らない」「知る機会がない」ので起こる→周知に工夫をしよう
そのほかにも、
- Adobe Stockうっかりクレジット枯渇して全員使えなくなる問題
- Canva導入したけど、いまいち使いこなせていない問題
などうっすら課題に感じていたことはありましたが、大体の問題に共通しているのは「周知方法」と「周知のタイミング」なのではないかと考えました。
例えば、Figmaならば、デザイナ職にとっては
- デザインシステム
- Autolayout
- Variables
- Variants
などを使いこなしてUI制作と制作コミュニケーションを効率的に行えるツール、月額6,750円(ビジネスプラン/2024年現在)という認識がありますが、
非デザイン職がFigmaを使いたい動機としては
- どんなツールか使ってみたい
- 既存のデザインファイルをちょっとだけいじって改修指示を出したい
- デザインを少し勉強したい
など少し動機がふわっとしていて、まず何が出来るツールなのか自体を知らなかったりしました。
こうした、 利用申請者がシンプルに「知らない」「知る機会がない」→こちらとあちらの前提に差分がありすぎてコミュニケーションコストがかかる ということが起きていました。
ツール申請時に各ツールの特徴、用途などを情報提供、確認事項を収集できるようにslackで自動化してコミュニケーションコストを削減
このような問題を解消するためにチームでもろもろ検討した結果、以下の方法にたどり着きました。
Designヘルプチャンネルをslackに開設
既存でインフラチームが運営していた、社内のPCインフラ周りの相談チャンネルを参考に、デザイン周り全般の相談ができるようなチャンネルを作りました。 デザイナーに個別で個人レベルで判断しづらい相談があった際にも、まずこちらのチャンネルへの誘導を行い、個々人の判断工数を減らすという狙いもあります。
チャンネルジョイン時の自動ウェルカムメッセージ
基本的には何か目的がある社員がジョインしてくるチャンネルなので、簡易的にできる事の選択肢に誘導する自動案内を設定しました。
目的に合わせたワークフローの追加作成&チャンネルの一本化
各種ツールの申請ワークフロー、デザイナーへの相談ワークフロー、仕事依頼フォームへの誘導 など、これまで別々のチャンネルを窓口にしていた既存のワークフローもこちらのチャンネルでアクセスできるように設計しました。
Figmaのメンバー追加ワークフロー
仕組み上、Figmaは自覚なく編集権限が付与されて課金アカウント対象になってしまうことがあり、手動での削除対応などが度々ありました。
裏返せば、Figmaは管理者によるユーザー追加作業がないと利用開始できないわけではないのですが、あえて利用開始時には申請を通過してもらう流れにしました。
このフローの中で、ツールに関する説明を添えて、Figmaが何に向いているツールなのか、費用がどれくらいかかるのか、などについて「知る機会」を作り、熟考・再検討してもらえるようにしました。
最初から完璧を目指さず、小声で一旦スタートしてみる
大体チームで思いついたものは実装したところで、全社アナウンスをかけてしまった時のインパクトが測れないので、一旦既存でcanvaを使っている社員向けに運営していたチャンネルを改造してチャンネルをスタートしてみました。
新しくちょっとした相談を持ちかけてきた社員に実際使ってみてどうだったか?といったインタビューなどを行い、問題点と感じた部分に関してはデザイナー定例で対話を行い、少しずつ改善する、という流れが生まれていて良い感じです👍
まだ試運転中だけど、デザイナーは少し楽になった
チャンネルリリースから1ヶ月経っていないこともあり、まだ相談件数などは少ないですが、相談される側のデザインチームも目線がバラバラ・ふわふわな状態からのスタートだったので一度情報とフローを一緒に整理したことで少し手放し運転が出来るようになったような、そんな安心感を感じています。
また、これまで個別に対応し、誰かに教えたTIPSなどデザイナー目線では気づかない困り事の解決方法なども都度可視化して共有(ナレッジシェア)することでじわじわと全社のクリエイティブの質と効率の向上に寄与できるようにブラッシュアップを続けたいと考えています。
みんな自覚なくDesignOps領域の業務をしている
弊社デザインチームでは、ここ数年で最初の依頼フォーム・フローの整備や、新卒採用プロジェクトなどを、拙いながらもチームで話し合い、模索しながら進めてきました。
今回のようにきっかけが問題提起ベースであったり、上長からの提案であったり、そこに課題があるので一生懸命なんとかしようという理由で動いていたのですが、一般的にはDesignOpsと呼ばれる業務の一部だったなと最近気づきました。
今やっていることが、一般的にはなんと呼ばれるスキルと経験に繋がるのか、という自覚は割と大事なのかなと個人的には考えているので、今後もう少しDesignOpsに関する知見も増やしていきたいなと思いました。